【BlenderFes】『シネマティックな絵作りの方法。実写のノウハウを使った「リアリティ」を感じさせるシーンづくり』受講記録

2024年3月に行われたCGWORLD企画、Blenderユーザーのための技術交流イベント『Blender Fes』のセッションの一つ『シネマティックな絵作りの方法。実写のノウハウを使った「リアリティ」を感じさせるシーンづくり』の受講記録です。学習メモ。

 

登壇者は高橋 悠氏(@nonbit) 

 

 講座を元に個人的に整理、解釈も織り交ぜているので、そのままの受講内容ではありません
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セッションコンセプト

実写ディレクター出身の自分がBlenderを始めた時、実写のノウハウが意外にもCGに役立つ事に気が付きました。ライティング・カメラワークを使った簡単に「リアリティ」を感じさせるアプローチや、なるべくノーコードでシーンを効果的に見せる方法を、現在制作中の自主制作アニメーション「昭和124年」を実例にお伝えします。限られたリソースで効果を出したい自主制作をされている人にもおすすめです。

シネマティックな絵作りの方法。実写のノウハウを使った「リアリティ」を感じさせるシーンづくり@Blender Fes

シネマティックな映像

今回のセミナーでは便宜上、「実写映画のような」という意味合いで使用する。

高橋 悠氏

高橋 悠氏(@nonbit) 

映像ディレクター

 

2015年頃より実写での映像制作を始め、2021年コロナ禍で撮影がストップした事をきっかけにCG制作を開始。Blenderを使用した自主制作CG作品「昭和124年」を制作しSNSを中心に発表。

元々実写畑出身ということもあり、実写で培ったライティングやカメラワークを活かした制作をしている。

実写映画特有の表現

  • カメラワーク
  • ストーリー性
  • 照明効果
  • カラーグレーディング
  • 演技
  • 特殊効果

のうち、今回はカメラワークをピックアップ。

現実世界とCGの違い

現実の世界はデフォルトで、光源、重力、汚れ、大気など複雑な要素だ絡みある非常に制約・情報量の多いノイジーな世界。

実写映画はノイズを減らすための努力をしている。過情報な世界を切り取り、整理整頓して映像化。

  • レンズ…フォーカス
  • ジンバル
  • ドローン
  • ライティング
  • ヘアメイク
  • ポスプロ

等々

 

CGの世界はノイズの無いクリーンでシンプルな世界。重力による制約もない。

CGの世界hノイズを増やして現実世界に近づけるアプローチをする。

  • レシェーディング
  • 複雑なライディング
  • 汚し
  • 大気の再現
  • ポスプロ

等々

 

CGの世界にノイズを足すことが、現実世界に近づける第一歩

実写のカメラで起きる固有の現象

  • 身長の範囲内の映像が多くなる
  • カメラマンの体制が映像に影響する
  • 手ぶれ
  • レンズ収差、フレア
  • リニアではない動き
  • フォーカスの遅れ

等々

実践-POV(Point Of View) 一人称視点の作り方

あくまで個人的な主観をもってしてのフローであるという前提で解釈の一つであるという認識を持っておいてほしい。とのこと。

様々なシチュエーション、演出で色々変化していくものである。

moco

選択肢が増えるのはセミナー受講の良いことですよね

POV(Point Of View

手持ちカメラ。キャラが登場しなくとも、ストーリー性のある映像作成が可能。

POV(Point Of View)の動かし方

  1. カメラは24㎜〜50㎜ぐらいがおすすめ ※後程変更可能。
    全体を把握するために35㎜等広めに設定しておくのがおすすめ。
  2. ビュー>視点の操作>ウォークナビゲーションモード に変更

    これにより以下の操作が可能になる

    機能 ショートカット
    視点の操作 マウス
    前進/後退/左移動/→移動 W/S/A/D
    移動速度を変更 ホイール
    グラビティモード(ON/OFF) G
    ジャンプ V
     ウォークナビゲーションにショートカットを設定しておくのがおすすめ!
    機能上で右クリックすることで、ショートカットを割り当てられます

  3. タイムラインでAutoKeyをONにする
  4. カメラビュー(0キー)にして、ビューのロックを。
  5. タイムラインを再生し、ウォークナビゲーションモードの状態でカメラを動かすとキーが入る
  6. グラフエディタに切り替え、Flatになっている部分や、キーが打たれていない部分の調整をする
    1. キー>密度>キーフレームをベイク フルキーが打たれる
    2. キー>スムーズ(ガウシアン) ドラッグするとカーブがスムージングされる
  7. 被写界深度の調整(フォーカスの遅れ)する
    1. エンプティを作成し、フォーカスを当てたい部分の近くに置く。今回は顔
    2. キャラの動きから若干遅れやズレを入れるような形で動きをつける。
      応用するとフォーカス送りも出来る。
  8. アドオンCamera Shakifyで手振れノイズを追加
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  9. 再生しつつ、パラメーターを調整して完成

ポイント リアルな動きを考える

始めゆっくり→切迫感に伴い徐々にスピードを上げる。スピードが上がればブレ幅も大きくなる等、

Camera Shakifyの速度やスケールのパラメーターにアニメーションをさせて、徐々に走り出す感などをつけていく。

Q&A

Q.GPUは何を使っているか?

A.RTX4090

完成形を見ながら作業したいのでGPUは良いものを積んでいる。

RTX4090である必要はとくにない。ビューポートのデノイズのStartSampleを1にしておくのがおすすめ

Q.実写に近づけるためにライティングで気を付けていることは?

A.ボリューム(霧)を入れる。大気の再現は大事

  • 直接ライティングではないが、ボリュームを入れることでライトの影響が変わる。
  • 場面によって変わってくるので、「これです!」とはいいがたい。

ライティングが良い映画をチェックする

夜のライティングにこだわった映画

Q.カラーグレーディングについて。Blender以外のソフト使ってる?

A.DaVinci Resolve

グローや色収差を入れたり。

一番使用しているエフェクトはグロー。

Q.(カメラ)ノイズを追加するにあたり気を付けていることは?

A.塩梅を決めるにあたり、2つの方法がある。

  • 沢山映像を見て、そのカメラの揺れ具合を観察
  • 実際自分でカメラで撮影して編集してみる

自分で撮影することでどんなノイズが出やすいのか、実写ならではの制限を理解してくるようになるので、おすすめ。

Q.おすすめのアドオン

A.今回紹介したCamera Shakify

Auto-RigProも。

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Q.実写の経験がCG制作の足かせになったことはあるか?

A.表現としては+しかない。

Q.Blenderの学習にかけたコストは?

A.「1日何時間」みたいなことは言えないが、初めの1~2週間は暇だったのでよくやっていた。

基礎からやるというよりは、アセットもバンバン使い、自分の作りたい映像を作るために調べるを繰り返す

【おまけ】Blenderユーザーの機材選び!初心者はどんなPCを買うべき?

高橋 悠氏が検証協力したCGWORLDの記事。

Blenderユーザーの機材選び!初心者はどんなPCを買うべき?クリエイターPC「DAIV」4機種をBlenderユーザー目線で徹底検証。@CGWORLD.JP

高橋氏が気づいたポイント

  • ノートPCでのCG作業は厳しいのではないかと思っていたが、そうでもなかった。
  • レンダリングはやはりデスクトップの方に分があるが、モデリングはノートで全然いけた
  • 2台目のPCとしてノートを持つのは有

カバー範囲の事例。用途によって選ぶものを決めると言いと言う話

引用元:Blenderユーザーの機材選び!初心者はどんなPCを買うべき?クリエイターPC「DAIV」4機種をBlenderユーザー目線で徹底検証。@CGWORLD.JP

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