2023年9月に行われたCGWORLD企画、Blenderユーザーのための技術交流イベント『Blender Fes』のセッションの一つ『実践VFXワークフロー with Blender』の受講記録です。学習メモ。
VFXの理想のワークフローとは何かを通して、VFX作業全体のフローを垣間見える今講座。
登壇者は現役大学生でもあり、VFXアーティスト/VFXスーパーバイザーの三宅智之氏(@38912_DIGITAL)
コンテンツ
セッションコンセプト
撮影できない映像を創り出す映像の魔術「VFX(視覚効果)」。
センスありきで難しいと思われがちなVFX技術ですが、理論に基づいたワークフローさえ整えれば、センスに頼らずとも高いレベルの合成が可能になります。
Blenderを使った作例を通しながら、実践的なVFXワークフローを解説します。
▶VFXが絡む映像のワークフロー
▶カラーチャート?HDRI?カメラ情報?
▶カラーマネジメントの大切さ、DaVinciResolveでの現像
▶HDRIの作り方
Blenderでのトラッキング、カメラプロジェクションから最終納品まで、VFXがどのように映像の中に流れていくのかを解説します!
セッションの中で使用した三宅氏制作のアドオンはこちらからダウンロードいただけます!
https://38912digital.gumroad.com/l/CameraProjectionAddon
※クーポンコードは参加登録者のみにメールにてご案内いたします。
受講者特典がついているとか胸熱ですねぇ
三宅智之氏
小学生のころに、ALWAYS 三丁目の夕日を見て、VFX・特撮技術に興味を持ったという三宅氏
そして今に至るという。詳細は三宅氏のnoteにまとまっているので興味ある方は覗てみるのがおすすめです。
実践VFXワークフロー
そもそもVFXとは。ChatGTPに聞いてみました。講座内で三宅氏が得た回答とは異なりましたが、おおよそ似たような話。
VFXセンスは必要?
A.必要だけど、理論で説明出来る所も沢山ある
これだけ覚えておけばOK
- VFXは情報が命
情報が沢山あれば、ロジカルに対応できる - 足並み揃えてから崩せ
色々な素材・情報を揃えてから、最後に演出的に崩す
VFXが絡む映像のワークフロー
よくある誤解はVFXチームが関わるのはCGと合成の部分だけじゃないか?というもの。実際は企画~合成まで関わる。
VFXはポストプロダクションに収まらず、
- 企画、プロダクション
何故VFXを使うのか(実写や特撮の選択肢は?)、どこにどのように使うのか - 脚本
予算内でできる最高の表現は何か - 撮影
VFXは情報が命。撮影現場での情報を集める - CG
VFXのためのCG - 仮編集
映像を撮影した上で情報をなるべく保ったまま扱う
理想のVFXワークフローをやってみよう!
- 企画段階でのVFXの考え方
先ずはVFXのことを忘れる。VFXありきだと表現の幅がせばまってしまうため。
その後、作業時間、予算を踏まえて制約や代案を考える。 - 撮影で記録すべきこと
- カラーチャート
リンク- 統一された色のリファレンスとして撮っておくと便利
- 基本的に左から2つめのグレーしかつかわない
- グレー玉(オプション)
- 反射と光と影のリファレンス
- CGで同じものを再現すれば、どう違うのかわかる
- 何故玉なのか。光の回り込みがわかる、CGで簡単につくれる
- NIXPro2カラーセンサーなど使って、CG上で再現
- HDRI
- 光の情報が記録されている
- 3DCG上で、現場のライティングを完全に再現できる
- スキャンデータ
- 3Dの位置情報を得るため。トラッキング作業にも役に立つ
- iPhoneやipadのアプリ(Scaniverse - 3D Scannerなど)利用。
- レンズ情報
- mm数
- 画角
- カメラ情報
- 機種
- センサーサイズ(※機種がわかれば調べられる)
- カラーチャート
- 仮編集
- Blackmagicというカメラを使ってる
- RAWとLogを理解する。
- 他のソフトに動画を持って行くために出力(今回は、EXR形式、コーデックRGBhalf、プロジェクトのカラーマネジメント>カラーサイエンスはACEScct。出力トランスフォームはACEScg-CSC(ACES-cg)
- 何故ACESを使うのかの解説。ざっくり言えば、足並み揃えて作業をするため。
(ACES 2065-1とACES-cgの違いは色域のみ。前者は色域が広くて保管むき、後者は作業向き) - カメラトラッキング(ここでレンズ情報やカメラ情報を使う)
- CG
- HDRI
Rawtherapee等で現像、PTGuiを使って作成 - BlenderはACESに対応していないので、スクリプト作成(受講者に公開)
- スキャンデータにShadowCatcher設定をして、影情報を得てRenderLayerに設定する
- HDRI
- 合成
- 理想のワークフローで出来ていれば後は素材を乗せるだけ
- あとは演出次第で加工する(コンポジットの領域)
しっかりとしたカラーマネジメント、情報収集等が出来ていれば合成までは理論的にに対応できる。
→VFXセンスは必要?につながる話。
現場でのHDRI撮影の動き
カットごとにHDRIがあった方が良い。手早く行うことが大事。
- あらかじめカメラをセットアップした状態で待機
- 撮影後に、CGを合成したい場所に移動。
- カラーチャートをおいて「環境撮りま〜す」と一言言って撮影開始。
- 写り込まないように360度撮影
もたついてると怒られるそう。
VFXの撮影現場は緊張感漂っていそうですね
HDRI太陽光を撮影したい
NDフィルターを挟んで撮影。
高濃度HDフィルターによる色ずれには注意。補正が必要。
参考情報
CGの実写合成で使われる謎の球体「VFXボール」とは?@Vook
RAWとLOGについて、今更聞いちゃダメですか?@東京カメラ機材レンタル株式会社-Note
Resolveによる色管理されたワークフロー: ACES@Neflix
色空間(カラースペース)とは何か、そしてACESが必要な理由とは
■HDRIの作り方
HDRIを作りたい!【01.準備編】三宅智之 | 38912 DIGITAL-Note
HDRIを作りたい!【02.撮影編】@三宅智之 | 38912 DIGITAL-Note
コスパ最高!RICOH THETA Z1を利用した ACES対応HDRI制作フロー<1>撮影編
コスパ最高!RICOH THETA Z1を利用した ACES対応HDRI制作フロー<2>現像からスティッチ処理まで
THETA Z1を用いたVFX向け高品質HDRI作成ハンドブック 第1回:イントロダクション【新連載】
VFXの情報量たるや
正直、実写合成のフロー全然知らず、とてつもない情報量が必要なことだけは理解できました。
一度でも自分で試してみない事には、本当の理解につながらなそうだなと感じております。
【期待!】Blenderと無料版のDavinciResolveで学ぶ!VFXの実践入門本
今回の解説をより易しく解説したBlenderと無料版のDavinciResolveで学ぶ!VFXの実践入門本を執筆されているそう。※タイトル不明
今年度中に完成を目指されているそうなので是非期待でしたいですね
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