【モデラー必見】スキニングのためのモデリングTIPSセミナーメモ

2019年12月に公開された「DAIKIN スキニングのためのモデリングTIPSセミナー(オンデマンド)」のメモです。元々はダイキンで契約している人しか見れないセミナー動画を期間限定で公開してくださっている模様。

 

スキニング時の問題をモデリング段階での工夫で楽に、よりよい結果にするためのリアルタイム向けローポリモデリングのTIPSセミナーです。

 

アニメーションをするためのモデリングをする人すべてにおすすめしたいオンデマンドセミナーです!

 

 ソフト問わず使えるTIPSですが、このサイトのカテゴリーの都合上mayaにしています

 

この記事がおすすめな人
  • モデラー(特にリアルタイム系ローポリ)希望の人
  • スキニングセミナー内容が気になる人

 

メモに残しきれない、実際の作業をしながらの細かな解説や理屈の説明は必見です!ぜひとも登録をして動画を見てみてください。

 

DAIKINのオンデマンドセミナー

配信は2019年12月23日までの限定配信のため、見たい方はお早めに登録を!

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コンテンツ

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空調だけじゃない!ダイキン

空調で有名なダイキンさんですがCGソフトも取り扱っています。ダイキンで契約すると、有償技術セミナーを無料又は優待価格で見れる、一年以上契約すると過去のセミナーまで見れると、技術フォローもしている会社。

 


CGソフトの購入、ライセンス更新を検討している会社さんは選択肢に入れてみてください!今回のような素晴らしいセミナーが沢山あるのであれば付加価値が大きいやもしれません。

 

セミナー概要

スキニングのためのモデリングTIPS

良好なスキニング結果を得るためのモデリング各パートごとに紹介されています。

そもそもスキニング作業とは?というところから解説されているので、CG初心者にもやさしい構成になっています。

 


講師

アークシステムワークス株式会社 本村・C・純也氏

 

GULTY GEAR Xrdシリーズではリードモデラーやテクニカルアーティスト、やDragonBallFighterZではモデリング監修、ディレクターなどを行うモデリングを主軸に活躍されている方です。

ターゲット

  • メッシュで形状は作れるけどスキニングは苦手な人
  • スキニングについての理解を深めたい人

主なコンテンツ

今回のセミナーでは以下の項目にわたって解説がなされていました

Part1: スキニングしやすいようにモデリングしよう
Part2: モデリングのためにスキニングの裏側を知ろう
Part3: きれいに曲げるための「関節構造のモデリング」
Part4: 「ボーンの配置」と「モデリング」
Part5: その他スキニングTIPS
Part6: おまけ ー 初歩的なリギングへのいざない ー

1: スキニングしやすいようにモデリングしよう

モデリングの下準備。

作業しやすい初期スタンスで作成する

  • AスタンスでもTスタンス、どちらでもOK。作るものに合わせて使いやすいスタンスで。
  • モデリング時、スキニング時問わず「メッシュの頂点を選択しやすくすること」が大事
  • 狙った範囲を選択しやすい=作業しやすい
  • 理屈の上ではどんな姿勢でもよいが、手足を真っすぐ伸ばしたポーズが作業しやすいことから、Tスタンスが初期スタンスとして定番になっている

メッシュの分割を工夫しよう

  • 入り組んだ構造だと、モデリング時もスキニング時も作業しにくい
    (全て1メッシュ化してしまうと選択しにくいなどの問題が発生)
  • 明らかに地続きでないモデルは別パーツに
  • 髪の毛や衣服、アクセサリ等パーツ単位で細かくメッシュを分けて作業をしている
  • 作品の仕様(ゲームエンジンなど)によってルールがあるので要確認(処理負荷的には最終的にまとまっていた方が有利な場合もある)

 

細かく分けて調整した後、ゲームエンジンに読み込む前に統合又はゲームエンジン内で統合するなどしてパフォーマンス得ている

頂点はきれいに並べよう

  • グラデーション上にウェイトを設定したい場合が多い。そのために、同じウェイトを設定する前提の頂点は、まとめて選択できるようにループ状に位置を揃えておく
  • 不規則・無秩序、らせん状に頂点が置いてある状態だと、手作業でのウェイト設定の手間が増えてしまうので注意!
  • ただし、このルールは絶対ではない。ループ構造を保持するためだけに無意味に頂点を増やすのは悪影響をもたらす場合もある

2: モデリングのためにスキニングの裏側を知ろう

よくある誤解

「とりあえずポリゴンの割りを増やしてスムーズにスキニングすれば関節はきれいに曲がるはず」

初心者が陥りがちな罠。少なくともリアルタイム用のローポリモデリングにおいてはよくない結果につながりやすい

人体関節:50%の罠

ウェイトをこのように振った場合(足首から先は今回無視)


関節部分に均等に振った場合、50%に振った箇所(膝周り関節)が細くなってしまってしまいます。

関節を曲げた結果が細くなると人体表現としては違和感につながります。

 

とはいえウェイトブレンド+回転は3Dソフトの計算の手法上どうしても細くなるのは避けられません。

解決には別のアプローチが必要!!

 

moco
ここは実際のシーンデータを使って、ウェイトの仕組みを詳細に解説して下っているのでぜひとも動画で確認してみて下さい

 

スキニングの計算の理屈を把握しておくと、頂点の位置とウェイトだけである程度変形結果が予測できるようになってきます。

→どういう頂点は位置、ウェイト設定をすれば望む変形結果になるかがわかってくる→効率アップ、クオリティアップにつながる!

 

moco
作っている最中にウェイトを考え、それに伴う変形結果を想定してモデリングできるようになるとかプロの極みですね。

3: きれいに曲げるための「関節構造のモデリング」

関節メッシュの頂点配置を工夫することで「細くなる関節」の問題は回避できます。その方法は複数あります。

 

キレイに曲げるための「定番」とされる頂点配置について。

moco
実際に適当なモデルを作ってこの定番配置やってみましたが、いくら調整してもセミナー動画内のようにきれいに曲がることはできませんでした。(今回はメモ用に頂点編集してます)熟練した調整技術が必要そうだなと実感しましたね

定番配置1:「めり込み」構造

潔く膝裏がめり込む構造

  • 50%のウェイトを振るような中途半端な位置に頂点は置かず、関節が曲がり始めたらメッシュが重なる形
  • 細くなるくらいならめり込んだ方がマシ。
  • 交差箇所に出来る鋭角な陰影を表現に取り込むこともできる

定番配置2:「ハの字」構造

「ハの字」方に加増範囲が広がっている構造



  • めり込み構造と同じく50%のウェイトを振るような中途半端な位置に頂点は置かない。
  • 曲げても細くならず、むしろ角度によっては太くなる。
  • めり込み構造よりは少しソフトな曲げ表現
  • 深く曲げた際は、めり込みと同じく交差が発生する

定番配置1、2の共通点

  • 伸びる側の分割は増やしてもOK
  • 縮む側の分割はむやみに増やさない
  • 曲がった結果の形状から逆算して、キレイな形になるように頂点を配置する

 

moco
動画の実演では、足を90度に曲げた際の膝裏の頂点が45度の位置に配置されるように頂点位置を調整していました。「定番配置でも適した位置に配置しないと良い結果は得られない」ということですね

 

4: 「ボーンの配置」と「モデリング」

曲がる個所を意識してモデリング

  • 関節によって曲がる部分、曲がらない部分をモデリングの最中から意識する
  • 可動部分は「50%の罠」を意識して破綻しないようにモデリング(定番配置)

これらによりスキンウェイト100%縛りでも、最低限のシルエットは作れる!

赤色の箇所をどのような配置にするかがポイント

ボーン配置のベストポジションを確立しよう

  • スキニングの問題の多くは、誤った位置にボーンがあるのが原因
  • どんなにスキニングの数値を調整しても、ボーンの位置が間違っていれば絶対に治らない
  • 人体の構造を知ることが大事。本屋資料などで確認しながら作業を行い知識を蓄積。
  • 上手くいった時の配置から法則を見出して、ノウハウを蓄積する

moco
「なんとなく真ん中に置いたらそれっぽくなるよね」ではよろしくない。しっかり意識しながら配置することで、成功/失敗例を自分の中のノウハウとして蓄積していけるそう。
なんだかアニメーション作業と一緒ですね

良好なボーン位置を見つけるためのテクニック①

試しにメッシュで曲げてみる

  • ボーンではなく、モデリングツールの回転で試しに曲げてみるのもおすすめ
  • 想定している回転の基点に回転ツールのピボットを配置して曲げてみる
  • 色々なところにピボットを置いて曲げてみて、いい塩梅の場所を探す
  • 良い所を見つけたらそこにボーンを配置する(メッシュはUndoで戻す)

 

moco
Mayaの場合、回転ツール選択後にD又はInsertでピボットの調整ができます

良好なボーン位置を見つけるためのテクニック②

メッシュを動かしてボーンの最適位置を探る

  1. ウェイトをあてた関節部分を変形させてみる
  2. 関節部分のメッシュの位置をずらしていい感じに曲がる配置を見つける(ex:3cmほど上げたらいい感じの変形になった!)
  3. メッシュの移動をUndoして、さっきと同じ分、ボーンを逆に配置しなおす(ex:ボーンを3cm下げたら、さっきと同じ結果が得られるはず

5: その他スキニングTIPS

モデリングする人にとったら当たり前だけど、大切な事

多層構造のメッシュでは割りとウェイトをそろえよう

同じ位置、同じウェイトの頂点は変形後も必ず同じ位置に来る

  • 本体の上に衣服や装飾がついているような多層構造のデザインの場合、本体と装飾品でポリゴンの割りとウェイトの設定をマッチさせる
  • これがマッチしていないとポーズを変えた時に、装飾品と本体がめり込んだり、はみ出したりと酷いことになる。完全にモデルの問題

 

moco
アニメーター側としてもホントこれは切に願います。割りの方向が裏と表で異なることで悲惨なことも、、、

ポーズを色々とらせて確認しよう

  • スキニングをある程度進めたら、とにかく色んなポーズを取らせる
  • シルエット確認のためにもメッシュを完成察せる前から借りスキニングして確認すると良い
  • 実際に作品内で取るであろうアニメーションを想定して、テストする
    (格闘ゲームであれば、パンチ・キック、万歳や開脚等)
  • いざアニメーターにモデルを渡した後で困らないように先に確認しておくとよい

moco
3dsmaxの時代はBipedを使うことが多かったため、スキン確認用のモーションファイルを用意して作業にあたってました。
ツールやリギングシステムがある程度統一されていると効率がいいですよね

6: おまけ ー 初歩的なリギングへのいざない ー

モデリングでも解決できない問題も当然出てきます。そんなときに必要になってくるのがリギング。

 

モデリング、スキニング、リギングの三位一体がそろうことでかっこよく動かせるキャラクターモデルの条件がそろいます。どれがかけても良いデータはできません。

動画ではシンプルなリグの紹介がされていました。

初歩的なリグ:手首のねじれ

手首のねじれのコントロール。何もしないと手首を回転させた際に関節が破綻してしまいます。

実際の人体では手首からひじにかけて前腕が徐々にねじれていきます。

ねじれのリギング

  • 前腕に複数のねじれ用のボーンを置き、前腕と連動して少しずつ回転させていく
  • コンストレイント、エクスプレッション、ノードに制御などソフトによって手法は異なるので各自で調べましょう。
  • 手首以外にもあらゆるねじれ箇所に有効な方法
  • ねじれ用のボーンの上に割りが来るようにモデリングにもきをつける

モデラーがリギングを覚えると良いわけ

  • モデリングでもスキニングでも解決できない問題がリギングで解決することも多い。
  • リグの構造に適したモデリング、という考え方も必要になってくる。
    この頂点は、リグでこう動くから、この配置が正しい」という考え方。
  • 最終的にはリギング、スキニングも含めてそれぞれの頂点がどのように制御されるのかから逆算してモデリング出来るのが理想(ローポリならでは)

    moco
    ローポリは頂点の数が限られています。
    「数万ポリゴンぐらいであれば、1頂点ごとの意味を意識して作成することが出来ます。(意訳)」とのこと。すごいなモデラー。。。
  • キャラクターモデラーはメッシュの作成だけでなく、スキニングやリギングなどの勉強をすることで、最終的なキャラクターモデルのクオリティが上げられる。

 

色々覚えてキャラクターモデラーとしての総合力を高めよう!

まとめ

  • 問題の根本は別にあることもある。目の前の「手段」にとらわれないようにしよう。
    どう頑張っても解決しない問題は、別の角度からアプローチすることで解決できることもある。
  • 処理の「裏側」で起きていることの法則(理屈)を見極められると、問題の原因がわかりやすくなり解決法も見えてくる。
  • 「新しい手段」を手に入れることで、飛び越えられるようになることも
    →例:リギングへのいざない
  • どんな問題にも必ず解決策、回避策があるはず。追究し続ければ思いもよらない発見や深い洞察、抜本的な解決方法が得られることもある。諦めず、どんどん考え、試して失敗を積み重ねよう。

オンデマンドセミナーを終えて

モデラーさん、リガーさん。いつもありがとうございます。

 

アニメーターなのでいつもご提供頂いたモデルやリグを使うことがほぼです。イヤー大変。ホントいつもご提供頂きありがとうございます。

 

世の中で見かけるローポリモデルの割り方の参考画像は見かけますが、「なぜその割り方がおすすめなのか」という一歩先に踏み込んだ話を聞けることができました。

 

その通りに割ればいいってもんじゃない。

 

割った先にもやるべきこと、考えるべきこと調整すべきことが沢山あることをこのセミナーで知ることができました。CGでキャラモデルを作るすべての人はこの動画を見るのがおすすめです。

 

ありがとうございました。

 

セットアップ・リギングを行うための参考書籍

自分でリグを作りたい!セットアップを行いたい!基本を学びたい!という方におすすめの書籍です。

マヤ道! ! : The Road of Maya (CG Pro Insights)

リグの実践的なノウハウを学ぶ前によみたい根本的なMayaの仕組みを理解することを目的とした本です。

初心者が躓きやすいポイントの解説もあります。Mayaユーザーなら1冊は持っておきたい良書です。

 

何よりマンガで解説されているので、スッと入ってきやすいのではないでしょうか。

主人公(新人モデラー)の上司のつぶやきとして、セットアップ前のオブジェクトの不備についても触れられています。

Maya リギングー正しいキャラクターリグの作り方

実践的なリグの組み方を基本的なところからキャラリグまで学べる書籍です。
0ベースからリグを組み立てる工程をサンプルデータと共に解説しています。

 

リグを作成する際の具体的なルールやリグにおけるデフォーマーの使い方、ノードのつなぎ方、ドリブンキーの使用etc、実制作を通して丁寧に解説されています。

 

第2版が出ていました。

Mayaキャラクターリギング


Mayaベーシックス アニメーション&セットアップ基礎力育成ブック

アニメーションを中心としたオールラウンドに解説された書籍です。

グラフエディタの操作から、階層アニメーション、パスアニメーション、カメラのアニメーション、ドリブンキーの用法、リグやスキニングなど広く要点を押さえた解説がなされています。

 

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