アニメーション12の原則を参考動画とCGアニメーターとしての経験からの使用ポイントと共にご紹介です。
ディズニーアニメーション 生命を吹き込む魔法 ― The Illusion of Life ―という本をご存知ですか?
ウォルト・ディズニー・スタジオのアニメーターでも特に中心的な役割を果たしたナイン・オールドメンのうちの2人。フランク・トーマス氏とオーリー・ジョンストン氏が共著した本で、アニメーション制作のハウツー本にとどまらず、ディズニー映画の製作現場での話が満載でアニメーション映画の技法と精神が詰め込まれた大著です。
その書籍の中でディズニーのアニメーターたちが映画製作の中で少しずつ蓄積していった手法・技法を分析、改良、規則化していったのがアニメーション12の原則だと語られています。
CHECKアニメーション12の原則の元祖。
分厚いですが読み応え満点!ディズニースタジオの内幕も存分に語られているため誰もが楽しめる書籍になっています。今は中古でしか手に入らないのでしょうか。10,000円ほどで買えたはずなので価格にはお気を付けを。
翻訳はスタジオジブリ。日本語版の監修には 高畑勲氏 大塚康生氏 邦子・大久保・トーマス氏(上記フランク・トーマスの義娘にあたる方)がついています。
高畑勲氏、大塚康生氏の後記も必見です!!
コンテンツ
- 1 アニメーション12の原則とは
- 2 Squash and Stretch -スクオッシュとストレッチ-
- 3 Anticipation -アンティシペイション-
- 4 Staging -ステージング-
- 5 Straight Ahead and Pose-to-Pose -ストレートアヘッドとポーズトゥポーズ-
- 6 Follow Through & Overlapping -フォロースルーとオーバーラッピング-
- 7 Slow In & Slow Out -スローイン&スローアウト-
- 8 Arcs -アーク-
- 9 Secondary Action -セカンダリアクション-
- 10 Timing -タイミング-
- 11 Exaggeration -イグザジュレーション-
- 12 Solid Drawing -ソリッドドローイング-
- 13 Appeal -アピール-
- 14 まとめ
アニメーション12の原則とは
アニメーター目指す人は最低限の知識として持っていなければならないアニメーションの基礎手法。とか言って、CGアニメーションをやるようになってたってから知った原則。
- 物理的に正しい動きを追求する
- キャラクターに命を与える
関連記事アニメーションエイドでもこの原則については学びました
The Illusion Of Lifeの中ではこのように書かれています。(読み方は私が勝手に呼んでいるもの。)
アニメーション12原則(12 Principles of Animation) | 意味 | 読み方 |
Squash and Stretch | 潰しと伸ばし | スクオッシュとストレッチ |
Anticipation | 予備動作 | アンティシペイション |
Staging | 演出 | ステージング |
Straight Ahead Action and Pose-to-Pose Action | 逐次描きと原画による設計 | ストレートアヘッドとポーズトゥポーズ |
Follow Through and Overlapping Action | あと追いの工夫 | フォロースルーとオーバーラッピング |
Slow In and Slow Out | 両端つめ | スローインとスローアウト |
Arcs | 運動曲線 | アーク |
Secondary Action | 副次アクション | セカンダリアクション |
Timing | タイミング | タイミング |
Exaggeration | 誇張 | イグザジュレーション |
Solid Drawing | 実質感のある絵 | ソリッドドローイング |
Appeal | アピール | アピール |
私がこのアニメーション12原則を知るきっかけとなったのはボーンデジタル主催のアニメーションスタイルセミナーでした。
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Squash and Stretch -スクオッシュとストレッチ-
オブジェクトに柔軟性と生命感を生み出します。スクワッシュ&ストレッチとも呼ばれています。
- スクオッシュ:潰し
- ストレッチ:伸び
カートゥーンのように実際に潰し伸びが出来ずとも、ポージング作成の際に、ポーズでの潰しと伸びを気をつけるだけで表現力が高まります。
仕事上ではそのまま伸び・潰しで表現することが多いです。スクオッシュして!なんて聞いたことがありません
ポージングの潰し伸びはこちらを見るとわかりやすいかも
Anticipation -アンティシペイション-
予備動作。
物理法則を意識した表現。
次に何が起こるかを予期させることを意識した表現。
略してアンティックと呼ばれることもあります。
物理法則を意識した場合、基本的にアクションとは逆の動きが入ります。何事も動く前には予備動作が入るという話ですね。
アンティシペイションが入ることで次に何が起こるかを予期させることができます。
Staging -ステージング-
カメラワーク、レイアウト、ポージングを含めた要素でキャラや状況をいかに効果的に見せるか。
巨大感を出すなら広角煽りアングルとか。
Straight Ahead and Pose-to-Pose -ストレートアヘッドとポーズトゥポーズ-
アニメーションを作成するための基本的な手法です。
- ポーズトゥポーズ:キーポーズとキーポーズを作ってそれから間を補間していく方法。
キャラの動きによく使う手法です。 - ストレートアヘッド:頭から順繰りにキーをつけていく方法。
私は布や髪の毛などでよく使う手法ですね。こうバサァッっとした動きが出来たりすると気持ちが良かったりすします。
Follow Through & Overlapping -フォロースルーとオーバーラッピング-
動きに流動性と重量を持たせます。
- フォロースルー:キャラクタの最後の動きを通り越す表現。
- オーバーラップ:メインの動きに対して遅れる表現。人体でいえば体の各パーツが少しずつ時間差をもって動きます。
こちらの資料が非常にわかりやすい!
アニメーションにおいてとても大切で、しっかりと作るのが難しい「揺れもの」のアニメーションについて大事なポイントをまとてみました⚖️見てもらえたら嬉しいです😆💨 pic.twitter.com/Zp1H6MWrpd
— Ryo Wakasugi (若杉 遼)海外CGアニメーター (@Ryowaks) 2018年3月13日
Slow In & Slow Out -スローイン&スローアウト-
緩やかに動き始め減速して終わります。
仕事ではイーズイン、イーズアウトとも言います。もっと略されて「イーズ」だけでどちらの意味も持たせています。
意としていない限りは大抵この対応がなされます。短いカットや動きでも1~3F程使ってビタッと止まる表現をさけています。
ちなみにビタっと止めることを私の周りでは「ビタ止め」って言ってます。
Arcs -アーク-
弧を描く、曲線を描くようにアニメーションをつけることを指します。
体全体の動きでもフェイシャルでも、指先など末端の動きでも、あらゆる箇所に対して有効な話で、カメラに対しての物体の軌跡も気をつけると気持ちのよいアニメーションになります。
その時必要な機能が3dsmaxで言うところのTrajectoryであったり、mayaでいうところのmotionTrailですね。
関連記事各ツールでのモーションパスの表示方法
カメラから見る絵に対してもこのアークは気を配らねばなりません。
Mayaの場合には2Dパン/ズームという機能があるので覚えておくのがおすすめです。
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Secondary Action -セカンダリアクション-
メインのアニメーションに色づけをすることを指します。
よりキャラクタの感情を表現するためのつけたしのアニメーション。
Timing -タイミング-
場面、状況に合わせた動きの尺やリズムの調整。
このTimingにはTiming(タイミング)&Spacing(スペーシング)と2つの概念が含まれていて厳密には異なります。
Timing:尺、長さ (タイミングを変えることは尺を変えることになります)
Spacing:一定の尺内におけるキーの配置。 (スペーシングを変えても尺は変わりません)
ここの気持ちのいい動きの感覚は人それぞれなので、ディレクターだったりクライアントさんの好みの把握が大事なんだと私は思っています。
よく擬音を使って意思疎通(ニュアンスのすり合わせ)を図ることがあります。
Exaggeration -イグザジュレーション-
誇張。
動きもしかり、ポージングも大きくみせます。
Solid Drawing -ソリッドドローイング-
ボリュームとウェイトとバランスの表現。
質量を無視した動きは宜しくない、ポーズのシルエットの重要性。
CGアニメーターへのスタート地点!アニメーションスタイルセミナーで、シルエット状態にしてステージングやポージングを確認するという話をきいてなるほどなーと思ったことがあります。
その頃はこのがの原則を知らず、今思えばこのことをいっていたのですね、きっと。
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Appeal -アピール-
訴える力。ダイナミックなデザイン、ポージング、アクション。
ポージングで左右対称になることは極力避けること。それだけでCGっぽさが出てします。
maxのbipedだとポーズのコピペがすんなり出来てしまうので要注意。
まとめ
このアニメーション12の原則はアニメーション関係の本を見れば大抵載ってるかと思いますが、その元祖たるディズニーアニメーション 生命を吹き込む魔法 ― The Illusion of Life ―は必見です!
ほかにもムービングホールド、サブテキストやコンタクト、クリックなどアニメーションには様々な要素が複雑に絡んでいます。
それらを意識し、理解しながら進めていくことでモーション作りがより楽しくなります。
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基本的にアニメーションやってると自然と理解・実行してるものですが基礎知識として持ってるかもってないかで制作時の意識が変わるので、CG教えている学校は是非とも学生に教えるきっかけにして欲しいと思います。
CHECKmoco愛用の書籍
全編英語ですが図解が多くてよい本です
Animation Aid 藤原氏の解説コラムに注目!
CGWORLDに藤原淳雄氏(Sony Pictures Imageworks シニアアニメーター)>>12原則は各工程でどのように使われるのかという記事が投稿されてました。
タイトル通り、海外のニメーションの制作工程
- Kickoff(キックオフ)
- Planning(プランニング)
- Blocking(ブロッキング)
- Splining(スプライニング)
- Polishing(ポリッシング)
でどの原則を主に使用して制作していくかの解説をされています。
Animation Aid 若杉氏のアニメーション講座に注目!
海外映画スタジオでアニメーターをされている若杉さん(fa-twitter@Ryowaks)のアニメーション講座も必見です!
より深く、丁寧な解説がなされています。
ツイッターで定期的に配信しているアニメーター向け記事のまとめを作りました!過去の記事が全て見れます😆
すぐに使えるメモ集(随時更新中)
https://t.co/ooa1e9KXUsジェスチャードローイングのススメ まとめ
https://t.co/dD5evN7zcrサブテキストの正体 まとめhttps://t.co/V704Nh5IlB
— Ryo Wakasugi (若杉 遼)海外CGアニメーター (@Ryowaks) 2018年2月28日
関連記事藤原氏さんも若杉さんもCGオンラインスクールAnimationAidの講師のおひとりですね