【BlenderFes】『How to make a person in Blender!』受講記録

2024年3月に行われたCGWORLD企画、Blenderユーザーのための技術交流イベント『Blender Fes』のセッションの一つ『How to make a person in Blender!』の受講記録です。学習メモ。

 

登壇者はSOMEI(someidesign )氏(@someidesign) 

 

 講座を元に個人的に整理、解釈も織り交ぜているので、そのままの受講内容ではありません
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セッションコンセプト

イタリックは翻訳サイトに突っ込んで読んだメモ。

<Lecture Contents> 講義内容

1. About my professional career
プロとしてのキャリアについて

2. Why Blender?
なぜBlenderなのか?

3. The journey of exploring characters
キャラクターを探求する旅

4. What should we do in the face of AI?
AIを前に私たちは何をすべきか?

<Target Audience> 対象者

All skill levels are welcome.
スキルレベルは問いません。

1. People who are using c4d and considering using blender
c4dを使用していて、blenderの使用を検討している人

2. People who are interested in character creation
キャラクター制作に興味がある人

3. People who are interested in advertising
広告に興味のある人

how to make a person in Blender!@Blender Fes

SOMEI氏

SOMEI(someidesign )氏(@someidesign) 

Motion designer/ CG commercial Director

フォトリアルなものから2Dテイストの映像作品までハイクオリティな映像作品を生み出しているアーティストです。

behance.net/someisun で作品を見ることが出来ます。

プレゼンの前の3つの質問

  1. 我々は今どうゆう状況か
    →ジェットコースターに乗っている最中。何故?
    →グラフィックカードも速くなった。AIの波が押し寄せてきている
    →毎日のように新しいアプリも出てくれば、AIもたった1年で飛躍的な進化を遂げている。
    →映像面ではSORAも登場した。
    →興奮すると同時にとても不安。
  2. 次はどうなる?
    →Youtubeを開くとAIでお金を稼ぐ方法のHowToが沢山ある。
    →AIがあればみんな金持ちになれるみたいなもの。
    →それとは対照的に、昨年は大きなストライキが何度かあってみんな「不安だ不安だ 将来どうなるんだろう」とみんなが不安を感じている。
    →「無と意識の人類史」と言う本を読んだ記憶があるが、この予言が描かれていました。

  3. 我々は、特に芸術家として何をすべきか?
    →物思いにふける時、尊敬する宮崎駿先生のことを思います。
    →宮崎駿先生は非常に素晴らしい日本のアニメ映画監督。最新作の「君たちはどう生きるか?

    →この言葉を引用して今回の講座を始める

選択

どうするか、は選択の一つ。SOMEI氏を例に挙げると

  • 絵画
  • モーションデザイン

の2択。最初の仕事としてはモーションデザインを選択。

2D→3Dと広がっていきCGIに行きつき、その方向性にすすみ始め、子どもの頃ら好きだったIP(※ヱヴァンゲリヲン)に携わることが出来た。

 

更に進み、今までやってこなかったようなストーリーティングに踏み出す。

最悪の2020年-「NEVER UNDO」-

過去一悲しい出来事が多かった1年を思い返して作成されたもの。

NEVER UNDO 不再撤回 from SOMEI 晟 on Vimeo.

見て頂くとわかるように、悲しい出来事や事件が盛り込まれている動画ではありますが、最後には過去にとらわれず、今を大切にして、一番美しい瞬間を楽しんでほしい。にすすもう、乗り越えようという前向きなスローガンの動画。

2Dアニメーションとの出会い-Light Catcher-

NEVER UNDOの制作の過程で2Dアニメーションに出会い、アニメーターについての映画を作り、アニメーターについて語り、その創作を後押しすることにし、アニメーションのクリエイティブなテクニックを全て取り入れた映像が作れないかと考えた結果作成された作品。

寻光 - bilibili from SOMEI 晟 on Vimeo.

棒人間の成長を描いた作品で、棒人間はアニメーターを表現。
多くの興味深い変化を経て、見違えるほどに成長していくというもの。

この作品で、映像におけるキャラクターの重要性に気づき始め、自分で1からキャラクター制作を出来るのではという考えに至る

キャラクター制作とBlender

リファレンスやチュートリアルを漁るうちにキャラクターを作るのは簡単ではないことに気づく。

一般的なプロセスは

  1. コンセプトアート(モデリング)
  2. リトポロジー
  3. テクスチャ
  4. スキニング(フェイシャル)
  5. アニメーション
  6. 髪の毛
  7. クロス(服)+シミュレーション
  8. ライティング
  9. レンダリング

等々、それぞれのステップに様々なソフトがある。

どうすれば時間をかけずに済むか、その方法を考えてそこでまずはソフトを少数(Blender)に絞るという考えに至る。

とはいえ、ソフトはある程度統一出来ても、制作のプロセスの簡略化は難しい

簡略化への道は優れたベースメッシュ

とりあえず

  1. コンセプトアート(モデリング)
  2. リトポロジー
  3. テクスチャ
  4. スキニング(フェイシャル)

に重点を置いて考える。各工程を経て得られるもの、それはアニメーション可能なアセット。

優れた可動性を持つベースフィギュアがあってそれを元にモデリングを行えば、2~4は簡略化した上でアニメーション可能なアセットが手に入るのではないか。

という考えに至る。

優れたベースメッシュとは

  • モデリングしやすくなければならない。好きなように形状を変えられるものでなければならない
  • 非常に洗練されたトポロジーを備えていなければならない。
  • 優れたスキニングを備えてなければならない。
  • テクスチャ(のためのUVも)優れてなければならない。

このような条件にあうベースメッシュを探し始める。

moco

あ…あるのか…?

Chris Jones(Universal Human)との出会い

優れたベースメッシュを探している中で出会ったのがChris Jones氏がリリースされているUniversal Human。

 

考えていたプロセスを、こUniversal Humanを元にしたフローに変更出来ないか考えてみた所

これだけあったフローが

  1. コンセプトアート(モデリング)
  2. リトポロジー
  3. テクスチャ
  4. スキニング(フェイシャル)
  5. アニメーション
  6. 髪の毛
  7. クロス(服)+シミュレーション
  8. ライティング
  9. レンダリング

これだけ簡略化出来ることに。

  1. コンセプトアート(モデリング)
  2. アニメーション
  3. 髪の毛
  4. クロス(服)+シミュレーション
  5. ライティング
  6. レンダリング

Universal Humanを導入した実験的キャラクター制作

先ずはどんなキャラクターを作るか。

その頃出会ったのがAlberto Mielgoというアーティスト。

  • スタイライゼーション-観客にこれが現実のもので無いと明確に伝える
  • 信頼できるアニメーション-余分な内容が一切ない
  • 物理法則に則ったCFX(クロス、髪)-現実の物理法則に則ったエフェクトを使用している

この方向で試してみようという考えに至る。

Universal Humanを使ったモデリングのフロー

具体的な制作のフロー。

各工程で、制作のヒントとなるTIPSが紹介されていたのでそれをメモしています。

トポロジーに影響を与えずにモデルの形状をどのように調整するか

Tips1:まずは顔の特徴(五官)的な位置と、体の基本的な骨格を調整する

  • まず始める時には、最初に顔の特徴、五官(目、耳、鼻、口、舌)の位置を調整する
  • 骨格も調整し、出来るだけ理想のプロポーションに近づける

Tips2:トポロジーが持つフロー(流れ)を活かしつつ、プロポーショナル編集を使用し、顔の構造をカスタマイズ

  • 筋膜のトポロジーをシンプルにする
  • シンメトリーにして面を直接調整する。サークル選択ツールはおすすめ。
  • 出来るだけトポロジーを崩すことなく、キャラクターのシェイプを調整。

関連記事プロポーショナル編集はあちこちで使っています

Tips3:部位ごとにシェイプキーを作成する

  • シェイプキーを部位ごとに分けて作成する。のちの調整を考えると全てを一つのキーで制御するのは難しい。
    顔の大まかな調整をした後は、各部位、新たにシェイプキーを作成するのがおすすめ
  • 現在のデザインに満足していない場合、シェイプキーを使用して、形状を元に戻すこともできる(別の形状に戻すことも出来る)

moco

シェイプキーを使ったことがないので、いまいち感覚的にわかっていませんが、ポリゴン単位でも戻すことが出来そう?

Tips4:スキニングを利用して、頭の角度をリアルタイムで変更、別確度や表情を確認して調整する

  • 既にスキニングされえているため、確認作業が非常に便利

Tips5:大まかな造形が出来た後に、マルチレゾリューションモディファイアを利用して、より細かな形状をデザインする

Tips6:眉毛。フェイスのベーストポロジーをそのまま眉毛のポリゴンとして使用することができ、それは同様のスキニングを引き継ぐ。

  • 眉毛箇所のポリゴンを選択し、Saparate。メッシュを独立させてもスキニング自体は引き継いでいる
  • 独立させたメッシュ上に直接毛を生やすか、テクスチャを独自でマッピングする
  • まつ毛も同様の手法
  • Blender内で直接カラーマップ描き、公式の高品質なテクスチャとミックスさせて使用することも可能

 

SOMEI氏おキャラクターは子の基本的なトポロジーに基づいて完成されている

これにより、テクスチャも再利用可能になっているため、テクスチャライブラリを作成して、スタイライズドテクスチャや異なる肌色のテクスチャを追加できる。

moco

0から作る必要性は全くなく、如何に効率よく自分のやりたい表現を再現できるか。
そこに注力したフローですね

 

Tips7:髪とセミリアリスティックなマテリアルを練習

  • キャラクタ制作を一定期間行っていると、ある時美的疲労感をかんじ始め、進行が難しくなる
  • 様々なキャラクターで練習。タイプの違うキャラ(太ったキャラ、筋肉質なタフガイ、古代人などなど…)
  • 一気にやる必要はないが、何度とバリエーションを変えて練習していくのが良い
  • 見えない領域、視覚的な盲点があるということは胸に留めておこう

制作プロセスを通して、最も重要なのは、画面に表示されるビジュアル

360度完璧にキレイに見えるように造形することはあまり重要ではない。最終的なアウトプットが全て。

そのため、ポージングとライティングを駆使して、カメラ内で出来るだけ完璧な状態を表現することが大事。

クロスシミュレーション(服)

衣装はMarvelousDedignerを使用している。Alberto Mielgo氏も作中で使用している。

アニメーション

ブロッキングでは「ポーズToポーズ」を基本とし、最も重要なポーズを固定してフレームに収めている。

Tips8:アニメーションをしている時に、自分の体や顔が無意識に動いてしまうなら、それは正しいサイン

  • アニメーションで一番大切なことは、キャラクターの中に入り込むこと。自身がキャラクターを演じる
  • リファレンスの重要さ。セミナー内ではArcaneのメイキングを例に挙げての解説。

 

関連記事このあたりはアニメーションエイドでの深掘りを参考にした方が良いかも

 

Tips9:眼晴

  • 目=Emotion=感情を映し出す
  • 目を通して感情を伝えることが出来るか
  • 光と影を使って、キャラの感情を強化する
  • ウォン・カーウァイ(映画監督)のライティングスタイルを参考にした

アニメーションTips

眼球のアニメーションは滑らかではなく、はねるような動きをする。その表現に

Blenderのアニメーション補間モードの「back(後)」

を使用すると、はねたり、少し震えるようなアニメーションを自然に作成することができる。

おすすめYoutubeチャンネル

Pierrick Picaunt

Blenderのアニメーションの知識はほとんどここから得たと言っても過言ではない。

なぜMETAHUMANやCHARACTORCREATERなどの既成のキャラを使ったフローにしなかったか

それぞれ有益な点はあるが、制限が大きかったり、Blenderとの連携し難かったり、スキニングの制限があったり、テイストが合わなかったり。

オリジナリティを出しつつ、なるべくソフトを絞りたい人間には相性が悪かった。

ZROⅡ(ゼロツ―)の立ち上げ

キャラクター・クリエイティブ・スタジオを立ち上げ。商品の一貫した世界観をもったブランディングに寄与。

iQOO | NEO 9 : NEO vs 独芯兽 from SOMEI 晟 on Vimeo.

上記動画のコンセプトからメイキングについての解説。言語化が難しいので割愛。

広告として、映像作品として考えに考えられて作成されていました。

Tips10:ムードボードの重要さ。

  • イメージボードの映像版。
  • 全体のイメージを掴むための物として、既成の映像作品等素材をつぎはぎして迅速に作成する。
  • 目的は顧客が直感的に内容を感じ取れることが大事。
  • 視覚を通して顧客の感情を動かす
  • チーム全体の映像に対する認識を統一する
  • ムードボードがあると、映像の構造はより明確になる

Tips11:髪の毛

  • Hair Toolsを利用して髪の毛の動きを制御

Blenderだけにこだわらない

クライマックスではアニメーションにMaya、CFX、VFXにHoudini、ライティング・レンダリングにC4Dを使用している。

  • レイアウト:カメラとキャラの大まかなアクションの関係を把握する
  • ブロッキング:キャラの演技(ポーズ)とアニメーションのリズムを確認
  • アニメーション+CFX:アニメーションの最適化とCFXのシミュレーション
  • 2DFX2Dエフェクトを追加し、画面のテンションとアニメーション感を強める
  • ライティング・レンダリング:C4Dを使って全体のライティングとレンダリング

moco

今回は使い慣れていたツールを選択したもので、いずれはBlenderで完結させたいとのこと

人間に出来ない動きをどのように作り出すか

空を飛ぶ、スタントマンでも難しいような、人間に出来ない動きをどのように作り出すか。解決方法は絵を描くこと!

巡り巡っていきついたのは初めの選択から外した絵画(2D)

私の選択は間違っていたのか?と自問をしてみるSOMEI氏。

AIとの向き合い方

  • 人生はジェットコースターのように思える。
    子どもの頃はジェットコースターが怖かったが、慣れると手を放して楽しむようになる
  • AIもジェットコースターと同様に恐怖
    私たちは巨大な波の前で、AIを後退させることも対抗することもできないのが現実。
    AIがもたらす未来が良いのか悪いのかわからない

私たちは何を恐れているのか

人生をリュックサックに例えると、成長は絶えずリュックに経験を入れ続ける事。

知識、金銭、物等をリュックに詰め込んでいくと、結果としてこのリュックはいっぱいになる。

リュックには容量がある。

SOMEI氏も様々なソフトを習得しているが、脳の容量は限られている。

 

特に今の時代は全てのことが急速に変化している。

必要だと思った全ての知識をこのリュックに詰め込もうとしているなら進むのが難しくなってしまう。

だから、もっと軽くした方が良いのではないかと思う。

 

ゲームでは武器を全部集めて収納できる。現実はそう簡単にはいかない。

現実でも新しい武器(知識)を手に入れることが出来るし、我々が使っている武器も万能ではないことをわかっている。
正に冒険。

 

私たちが心配しているAIも私たちに冒険のための武器を与えてくれるのではないだろうか。

AIが私たちを助けてくれる限り、私たちが作ろうとしている作品に役に立つならばではあるが。

AIは良いのか悪いのか

SOMEI氏的には別に悪いとは思わない。

ジェットコースターに乗るように、両手を高く上げて体を軽くして挑もう!

 

私たちが経験する全ての新しいこと、未知のことを次の作品を完成するための武器にして冒険を楽しもう!

創作の全てが繋がっている

SOMEI氏のこれまでの創作を解説交えて拝見していると、

  • とても深く考え
  • 着実に次へをステップアップし
  • 常にチャレンジと進化を続けている

そんなフローを感じ取れることが出来ました。

武器の取捨選択がとても上手い

と言うのを講座を通して学べました。

全てを0からやる必要はなく、キャパがあることを理解した上で、既存の武器を活かし、自分の表現を追求していくことに全振りしていく。

自分がやりたいことは何だろうか(そのために取捨選択できることはなんだろうか)

と考えさせられるセッションでもありました。とても面白かったです。ありがとうございました!

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