アーティストのための美術解剖学の著者の第2弾日本語訳、モーションを描くための美術解剖学を購入してみました。
骨格の骨の詳細な名称など多数掲載&人体の構造に関する専門的な用語が多く、ハードル高めではありますが、骨や関節の構造を知ることによるモーション(ポージング)のあるべき形を理解する上では良い本でした。
非常に情報量が多く、読み込むにもすべての情報を理解するも長い時間がかかりそうですが、動かしたいポイントを絞って調べ、読むと辞書的に使用していく理解していきやすいのです。
コンテンツ
モーションを描くための美術解剖学
ヴァレリー・L・ウィンスロゥ著 宮永 美知代訳/監修の本で2018年5月発行の比較的新しい書籍です。
関節や筋肉の動きや構造を理解し、解剖学をもとにした人体表現をいかに作品に活かすという目的で作られた書籍です。
前作はこちら。アーティストのための美術解剖学
主な収録内容
書籍より引用
- 主な骨の位置と体表にある指標
- 関節の動き
- 骨格筋と腱の特徴と働き
- 体の部位ごとの筋の機能
- 皮膚下の凹みや隆起、脂肪、体系
- 単純な形を使ってポーズをとらえる
- 短時間で描くジェスチャードローイング
- 静止したポーズの中にある動きを見つける
- 動きを連続描写でとらえる
他
レイアウトやイラスト具合はなどの中身はAmazon内で確認することが出来ます。
中身のサンプルを見てもらうとわかるのですが、非常に文字が多い!専門的な名称を使って小難しいことが書いてあるんですが、よくよく読むと関節や筋肉や腱の構造から生成される動きの解説ばかりなんです。
そして、かなり丁寧な図解もされていて、文章のわりに理解しやすいんです。
良く動かす部位の解説が面白い
- 股関節や骨盤の動き
- 鎖骨や肩甲骨の動き
- 指の曲げ方(手の骨全般の屈曲と進展、母指の外転・内転)
など。
よく動かす部分に関しての詳細な解説がなじみ深く、また改めて意識できるようになったことは非常にありがたかったです。
骨格や関節だけじゃない解説が面白い
- 顔面筋と表情について(フェイシャル作成時には理解しておきたい目の動きや口の動きの解説)
- 頭髪の特性(4つの基本タイプ)
- 指の皺(指皮線)と関節の関係
など。
フェイシャルは別として、なかなかアニメーションの本では取り上げられないような興味深いコンテンツもちょこちょこありました。
CGアニメーションへの活かし方
骨格や関節の動き、筋肉の付き方、その動きなどを理解することで、
- 可動範囲
- 可動する方向
- 骨(ジョイント)の曲がり具合
- 骨格構造から動かした時に変化するシルエット
- 感情に適したフェイシャルを作成しやすくなる
など、人体の基本となるリアルな動きを理解できます。
以前、アニメーターの若杉さんがセミナーで言っていた
本物(リアル)を知っているからこそ、本物のようなもの(リアリスティック)を作れる!
ということにつながります。そのための資料としてとても有効でした。
関連記事若杉さんのセミナー参加の記録
関連記事関節可動域については藤原さんのレクチャーでもおすすめサイトをご教授いただいていました
ジェスチャードローイングについても学べる
書籍の後半では人物をシンプルな形状でとらえること、そしてジェスチャードローイングについての解説項目もありました。
解剖学的構造の4つのTで空間の位置をかえる
この書籍では立体をとらえるにあたり大事なポイントとして
- 回転(Turning)
- 傾き(Tilting)
- 前後傾(Tipping)
- 捻じれ(Twisting)
各項目について図解と共に解説もありました。
コントラポストやLine of Action、動きのリズム、形状のリズムなどスケッチやドローイングについても詳細に解説されており、解剖学とプラスして1度で2度おいしい収録内容となっています。
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3000円でこの情報量は破格すぎる!!
こんなにも大量の情報を掲載していてこのお値段でいいんですか、、!?と言いたくなるほど情報量満載でした。
仕事ではここまで詳細な制御ができるモデルが来ることはまずありませんが、モデル作成における人体の形状の成り立ちを把握するには非常に有効な一冊です。ここまでくるとアーティストのための美術解剖学と何が違うのか収録内容が気になるところですが、そこは両方お持ちの方のレビューに期待したいですね。
マール社の他の書籍にも注目!
モーションを描くための美術解剖学を発行しているマール社は美術・デザイン関連書籍に特化しているようで、ラインナップも豊富でした。
一度サイトを見てみると面白い発見がありそうです。