2023年9月に行われたCGWORLD企画、 Concept ArtやDigital sculptureで有名なEntei Ryu氏の講座、『造形の“やわらかさ”を表現するための秘訣』の受講記録です。学習メモ。ボリュームが多いので4回に分ける予定です。今回はその① 講座の概要とアートにおける「柔らかさについて」
この記事では
fa-check-circle-o『造形の“やわらかさ”を表現するための秘訣』での学び
をまとめています。
ZBrushをきっかけにEntei Ryu氏を知ったので、このサイトではZBrushにカテゴライズしていますが、本講座はZBrushの具体的な操作方法やモデルを完成させるためのワークフローを解説する講義ではなく、Entei Ryu氏の作品を通してのデザイン思考やモデリング意識、日常の学習方法等学び方の解説のため、広く有効な話かと思われます。
なかなかない機会、しっかり学ばせて頂きます!
関連記事Entei Ryu氏を知ったきっかけ
コンテンツ
『造形の“やわらかさ”を表現するための秘訣』
造形の“やわらかさ”を表現するための秘訣
~デジタルスカルプトにおける 生命の形の掴み方~
と題してEntei Ryu氏の創作時の思考・こだわりを学べる貴重な機会。アートに興味がある人なら一度は聞きたい話ではないでしょうか。
- モンスターキャラクターなどの造形に興味がある方
- 造形スキルをアップさせたい方
- より芸術的な造形をやってみたい方
向けに、Entei Ryu氏のワークフローや考え方通して、新たな視点を持って臨んでもらえたら幸いという主旨。
■Entei Ryu氏のTwitter(X)でも同様の主旨が語られております。
下記、2022年のツイートですが、今回は3回目の再演という本講座。
今週の金曜日はオンライン講義です。そこで私の普段の創作でこだわっていることを体系化してシェアしたいと思います。 ツールの操作などではなく、美に対する意識、絵作り、スタイルの育み方、学習方法などについての話なので、彫刻以外の美術関係者の方も歓迎します。
詳細:https://t.co/VeorDQfRtf pic.twitter.com/FFci6XRrxC— Entei Ryu (@BadZrlwt) September 7, 2022
事前収録済みの講義動画配信+ライブでのQ&A回答+ライブドローイング
という構成でした。
Entei Ryu氏
映画やゲームのコンセプトアーティスト、イラストレーター、スケッチャ、原型師と多彩な活動をさせているEntei Ryu氏。
ArtStationは眼福の集合体。
Fierce Girl No.1~No.3 🐯🦈🐊
exquisite painting work by @eeriness17
photo by @chezter
Design/Sculpted Entei Ryu pic.twitter.com/6XLD4qVCai— Entei Ryu (@BadZrlwt) September 13, 2023
Entei Ryu氏のInstagram
参考Entei Ryu氏のインタビュー記事
【スカルプターズ・データベース】絶妙な“柔らかさ”の造形、驚異の天才肌 Entei Ryu@Sculptors LABO
カリキュラム
カリキュラムは大きく2つ。とても整然とされており、非常にわかりやすい構成でした。
各項目も見るだけでも興味深いですよね。面白かったです
- 「柔らかさ」とは?造形が上達するアプローチと作成の紹介
- 自然であること
- 調和がとれていること
- 流動していること
- 生命力を感じること
- 動画で人物キャラ+生き物からなる作品の造形全過程を解説
- スカルプト動画「Tiger Flower」
「柔らかさ」とは?造形が上達するアプローチと作成の紹介
ここで言う「柔らかさ」は物理的な柔らかさではない。アートの視点からみた「柔らかさ」とは
- 自然であること…人の手で作られたものではあるが最初から当たり前のように存在し、リアルな細部と構造が配置されている。
- 調和がとれていること…協和、合理的、バランスが取れている。心地い感覚を五感で楽しむことが出来る
- 流動していること…静止しているものに動き、時間を与える。エネルギーの流れを感じることが出来る
- 生命力を感じること…0から生命を吹き込む。
Animation制作にもつながることですね…アニメーターはストーリーを伝える事とか、構造を知り、リアルを作るみたいな。
「柔らかさ」の反対に位置しているもの
俗に言う、不気味の谷現象(Uncanny Velley)
表面だけ作成された魂が無い造形。
参考不気味の谷現象(Uncanny Velley)自体は幅広いジャンルで使われる
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E6%B0%97%E5%91%B3%E3%81%AE%E8%B0%B7%E7%8F%BE%E8%B1%A1
作例
実際、彫刻家のGian Lorenzo Berinini(ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ)は大理石に生命を吹き込んでいる。
- 肉感、重量感
- 筋肉から感じる力の流れ
- 造形から感じる動きの流れ
- 視線から感じる空間
- 表情から感じる機微と繊細さ
etc…
その他おすすめの作家
- Maksim Veyasov
ロシアの彫刻家 ※詳細資料見つけられず - Simon Lee ⇒多分この方 https://www.instagram.com/spiderzero/reels/?hl=ja
スカルプター
「作品を作品として扱うのではなく、作品は前にすすむための階段として認識したほうがよい」
「絵を描くのは息をするのと同じぐらい自然なこと」 - mebius(Jean Giraud)
フランスの漫画家
AnimationArtもおすすめ
アニメは静止画とは異なる要素が多く含まれている。動きのリズムやシルエットをより重視している。
躍動するフォルム、リズム、彫刻家にとってもよいインスピレーションを得ることが出来る。
Entei Ryu氏のお気に入り作品。
次回から具体的な話へ
「柔らかさ」の中身、
- 自然であること
- 調和がとれていること
- 流動していること
- 生命力を感じること
の詳細な解説に入る所なので、ここで一旦区切ります。
関連記事次