2023年8月に行われたアニメーションエイド単発の講座、クリーチャー・アニメ―ション『陸』の受講記録です。濃い内容のため3回に記事を分ける予定です。
今回はその①。講座の概要からウォークサイクルまで。
アニメーションエイドはアニメーション1、3と受講しており、その有益さからいつか受講したい!と思いつつも、なかなか時間が確保できず受講に至れなかったクリーチャーアニメーションクラス。単発の講座とは言え、この機会を逃すまいとリアルタイムで参加出来ないのは承知の上で申し込みました。(※なお当日は子育て中のCG屋さんの雑談会『子育てCG屋のリアルお茶会』開催してました)
この記事では
fa-check-circle-oクリーチャー・アニメ―ション『陸』での学び
をまとめています。
画面キャプチャ等を行わない限り、受講内容をのアウトプットOKを公言(推奨)とするのはアニメーションエイドならでは。しっかり学ばせて頂きます!
関連記事アニメーションエイド受講記録
コンテンツ
クリーチャー・アニメ―ション『陸』
講師は島田竜幸氏(@tatsuyuki14)進行に、藤原あつお氏(@atsuox)を迎えての単発講座。
いよいよ明日です!
夏の特別講座
クリーチャーアニメーション 陸&空
ILMアニメーター
島田竜幸氏@tatsuyuki14参加申込みが160名以上❗️
すごい👏
ありがとうございます😭#エイド講座クリーチャー申込はこちら💁https://t.co/CsOGfzMekU pic.twitter.com/6FbzKjPuPs
— アニメーション エイド (@AnimationAid) August 4, 2023
最終的には197名もの人が参加した講座だそうで、かなり大規模。
講座内容自体は録画したものを配信し、Zoomでのリアルタイムでの質疑応答に注力するという非常に効率の良い進行でした。4時間ミチミチ。
講座の注意事項
- 画面キャプチャ、録画したものの配信はNG
- 作品等特定されてしまうような内容部分のシャアはNG
- キャプチャ等しなければ、学習・まとめた内容をシェアするのはOK
ありがたく!気を付けてまとめていきたいと思います
クリーチャー・アニメ―ション『陸』
陸上を生きる四つ足の動物の動きの基礎を学びます。空想上の生き物でも実在の動物の動きをベースに作成されているため、基本を押さえるのはとても大事。
海外のアニメーションスクールでも陸を学んでから空を学ぶぐらい、陸上の生き物の動きを学ぶことは大事。必須。
今回の講座では
- 歩き
- 走り
- 方向転換
- +α
を網羅した内容を学びます。
- 基礎 四足歩行の動物の歩き、走りを知る
- 応用 スピードチェンジ、ジャンプ、方向転換
2つの構成で解説されました。
クリーチャー・アニメ―ションに求める事
Make Audience beleve that Creature exist
CGで作られたクリーチャーに魂を吹き込んで、存在しているかのようにオーディエンスを信じさせる。
違和感を感じさせたら負け。
関連記事このあたりはキャラクターアニメーション全てに共通ですね
例:ドラゴンのアニメーション
空想上の生き物。どんなアニメーションをするかは自由、自由だからこそ難しい。
リグDL今回のスクショでお借りしているリグ
Maya Dragon Rig@TurboSquid
■FreeのDragonRig初期ポーズ
答えはないのでどんな動きをしても正解にはなるが、いかにリアルに見せるかが大事!
島田氏のドラゴンが飛び立つデモ動画では、地上に居る時は四つ足動物、空を飛んでいる時は鳥の動きを参考に作成されたそう。
■デモ動画
Dragon! iAnimate CreatureWorkshop from Tatsuyuki(Tatsu) Shimada on Vimeo.
やはりベースにあるのは実際の生き物
おさえるべき2ポイント
- What kind of motion is appealing on the screen
どんな動きがカメラから見て魅力的な絵になるのか。魅せ方、ポージング等 - Actual Body mechanical,How they move
正確な動きとその構造。彼らがどのように動く(歩き、走り、飛ぶ)のかを知る
What kind of motion is appealing on the screen
イラスト等を沢山見る>キレイなラインのシルエットがカッコいい>Line of Actionにつながる
- Line of Action
- シルエット
Actual Body mechanical,How they move
実在する動物の動きを理解することで、
- 実在しない生き物をアニメーションを作成する際のリファレンスになる
- リアルな動きを表現できる
例えば、鳥は基本左右対称に翼を広げる(方向転換等の場合は除く)を理解することで、上記ポーズ作りの一助にもなる。
恐竜の動きを作成する際に、鳥の動きやその特徴参考にすることで、よりリアルな動きを作成できる。
恐竜の動きで参考にした例
ヒクイドリの動き。大きな鳥で足先が恐竜に似ていることからチョイス。
- 踵からつく人間と異なり、つま先からつく
- 大腿骨と跗蹠骨(ふしょこつ)※赤線が地面に着地する瞬間、地面から離れるまでは常に平行を保つ
引用;https://ja.m.wikipedia.org/wiki/鳥類の体の構造
実在する動物の動き、構造を理解すること+絵的な見せ方=説得力のあるリアルなクリーチャーが作成できる!
基礎 四足歩行の動物の歩き、走りを知る
実際にウォークサイクルを作成する前に、知っておくべき知識や作業準備についての解説がありました。
まずは動物の骨格を知る
各生き物の骨を比較して、その構造の違いを学びました。
※解説では骨のサンプルを元に解説されておりましたが、スクショは撮れないので似たような解説をされている資料を引用させて頂きます。
たいていの動物の足で足首を膝と誤解されることはよくあるけど、
人間の足を他の動物の足の骨ベースにしてみたら、どうなるか描いてみました。 pic.twitter.com/LLZ7bhaHo4— 川崎悟司 (@satoshikawasaki) July 14, 2018
踵の位置に注目。
■人間(動画解説ではリス)は踵が地面についている(一番左)
■犬や猫は拳(指)が地面についている(一番から2番目)
■馬や鹿は指先で歩いている(一番から3番目)
なお、それぞれ
蹠行(しょこう)※ヒト等
趾行(しこう)※犬等
蹄行(ていこう)※馬等
と言います。
食の特性によって体の硬さ、可動域に違いがある
草食系の動物は腸が長く、内蔵を守る骨が大きいため体が硬い傾向にある。逆に肉食動物は消化が早く腸も短いため、スクワッシュ&ストレッチのできる体の柔らかさがある。
そういった違いを理解すれば、アニメーションを作成する際に違いが出せたりする。
下半身(腰)の動きはそう変わらない
どの動物もほとんど変わらない
肩甲骨に人間と四足動物に大きな違いがある
四足動物は鎖骨が無いことによって肩甲骨の可動域がとても広く、着地時など、肩甲骨が力を吸収するサスペンションの役割をしている。
首の骨数は人も動物も同じ
基本的に頚椎の数は7つ。
骨格を知ることでアニメーションをカバーできる
リファレンスを集めることは大前提ではあるが、草に隠れて見えないようなケースでは骨格や動きの仕組みを理解している知識でアニメーションを補うことが出来る。
リファレンス集め
とにかくリファレンス集め
重要。キャリア関係なし!
・クリーチャーはその動きを人間がやることが難しいのでなおさら。
・色々な角度の物を集める(一方からではわからないことが多い)
・多角的に見ることで再現度が上がる。
・リファレンスを使っていない動画はすぐにばれる
ファレンス集めのポイント
- なるべく同じ動物で探す。
〇〇科が同じでもプロポーションが異なる(ex:チーターとレオパルト) - 等速で歩いている、走っているものが望ましい。
歩き始めや歩き終わりはウォークサイクルを作成するリファレンスとしては適さない。
何歩か歩いている時の真ん中の動きを使う。
■アニメーションエイドのチャンネルでもリファレンスの大切さは熱く語られていました。
関連記事良さげなものを見かけたら集めてます
リグの使い方のポイント
- 胸と腰は別で動かす
胸と胴体でいちいちカウンターアニメーション(相殺する動き)をさせるのが手間のため。 - シンプルにつける
最終的に動かす部分がとても多く、複雑になっていくので、自分がどこのキーを何のためにアニメーションさせているのかを把握するためにも基本はシンプルに作成する。■島田氏の場合
基本はトランスフォーム。アトリビュートのパラメーターは最後の味付け程度
- 頭はワールドに
どんな時でも前を見据えている形にしたい
ウォークサイクル
実際にウォークサイクル作成の工程を学びます
リグDL今回のスクショでお借りしているリグ
押さえるべき 動きの6ポイント
トラのリファレンスを例にとっての解説
- 前後の足の運び
後足→前足の順で歩行が行われている。それによって腰→胸の動き順にもなる。 - 左右の足の運び
右(後足)右(前足)→左(後足)左(前足)。 - 腰の最高値と最低値
腰が一番高くなる時は、右(左)の後ろ足が左(右)の後ろ足を抜かす時。
腰が一番低くなる時は、両方の足が地面についた時 - 着地したときの肩甲骨の動き
肩甲骨がクッションの役割を果たすのは先述の通り。
足が着地した瞬間に肩甲骨がボコッと上がる。 - 平行を保つ足のパーツ
地面に着地する時、地面から離れる時を除いて大腿骨と中足骨は平行を保つ。
地面に着地する時は中足骨がクッションの役割をする。
極端に表すとこんな感じ。
- 前足が高く上がる
前足は大きく動き、後ろ足はちょこちょこついてくる形になる。
ウォークサイクル作成のフロー
- リファレンス配置
講座では真横と斜め前のリファレンスを用意。先にトレースするのは真横から - 腰・胸・肩甲骨から作成。
この時点で頭やしっぽの動きは不要 - 動きの開始、終了、真ん中(フィリップ)→更に中間にキーを打って行く
四足なので「ここがコンタクトポジション、パッシングポジション」というポーズポーズで明確な定義がし難いため、とにかくポーズポーズを並べていく。 - この段階で押さえるべき動きの6ポイントは全て納められているはず。
着地時のクッション表現とかも
- アニメーションレイヤーに前進する動きを入れ、その場⇔前進を切り替えながら足滑り対策作業を進める。
- 他のアングルからの調整。動画では正面
シルエットの調整(CGっぽいカクカクした部分をなだらかにするように調整)
足滑り対策
- まずは1足を決めて滑らないように作成する。
動画では左前足を基準に調整。左前足を完璧に滑らないように作成してから他の足の対応をしていく
足滑り対策にはMiyukiさんの動画やAnimbotの機能を使用する方法などが後程語られていました。
参考Miyukiさんの動画
参考animbotのblend to Neighbros world space
blend to infinity world space
関連記事animbotは活用してます
ポリッシュ
着地時の重さを感じる動きを付けます。
- 指(爪)の動きを追加する
- 着地時の肉の揺れ
非常に濃い、学びの多いセミナーです
ここまででようやく3分の1程度の時間が経過しました。
次回は基礎の続き。ランサイクル。とても濃い内容で嬉しい叫びがでますね。
アニメーターズ・サバイバルキットを読み返すと面白いかも
アニメーターズ・サバイバルキットには動物のアクションとして歩きや走りについての図解がありました。書籍内でも実写のリファレンスは大切。というような内容が記載されております。講座を学んだあとに読み返すとまた面白いやもしれません。
アニメーションエイド受講をきっかけに、CGWORLD(2022年 5月号 vol.285)にチョコッと「らくがきクリエイトmononoco」の名が載りました!CGアニメーター必読の一冊です!是非お手元にどうぞAnimationAid受講講座まとめ
アニメーション1 若杉クラス
アニメーション2 若杉クラス
アニメーション3 藤原クラス
クリーチャーアニメーション
こちらは単発の講座受講。
受講時におすすめ
レクチャー動画を見るにおすすめの拡張機能。
サイクルモーションをデモリールに入れたくなった時に