「作って覚える! ZBrushフィギュア制作チュートリアル -はじめてから塗装まで-」の感想です。前作、作って覚える! ZBrushフィギュア制作入門も持っているので、そちらとの相違も軽くまとめています。
2022年6月に発売されたこちらの書籍。ZBrushの基本的な使い方からZBrush2021で追加されたDynamicsやStagerなど比較的新しい機能を活用した制作他、フィギュア制作全般のワークフローを学べる1冊。
なかなかZBrushの日本語書籍が発行されない中、新しい機能を使ったフロー解説はありがたいですよね。
この記事では
fa-check-circle-o作って覚える! ZBrushフィギュア制作チュートリアルの基本情報
fa-check-circle-o各チャプターの簡単な紹介
fa-check-circle-o各チャプター内で紹介されている機能の一部(関連記事)
をまとめています。
- 作って覚える! ZBrushフィギュア制作チュートリアルの内容が気になる人
- ZBrush初心者
コンテンツ
作って覚える! ZBrushフィギュア制作チュートリアルの基本情報
2022年6月28日に株式会社ボーンデジタルより発行されました。
目次
Chapter1:操作画面と初期設定
Chapter2:基本操作
Chapter3:顔の制作
Chapter4:体の制作
Chapter5:パーツの制作
Chapter6:ポーズの作成
Chapter7:仕上げ
Chapter8:出力と塗装
Chapter9:トラブルシューティング
著者
ウチヤマリュウタ氏(fa-twitterウチヤマリュウタ@RRUU4)
これまでにもZBrush の関連の書籍を発行されているので、その分かりやすさには定評があります。
作って覚える! ZBrushフィギュア制作入門との違いは?
著者であるウチヤマ氏自身が語っております
「作って覚える!ZBrushフィギュア制作入門」の「CG初心者にもわかりやすく」のコンセプトをそのままに、新しいVerの手法でほぼ書き直したものになります。企画初期は一部改訂版の予定でしたが気づいたらこうなってた…。 pic.twitter.com/61bvBeecJv
— ウチヤマリュウタ (@RRUU4) November 12, 2021
ということで内容が多少被る部分はありますが、新機能を含めたワークフローは元より、3Dプリンタへの出力周りの解説が大幅強化されています。
特にダボ作成他分割の処理や3Dプリンタ出力についての詳細な解説は、作って覚える! ZBrushフィギュア制作入門には無かった/あまり触れられていなかったコンテンツ。作って覚える! ZBrushフィギュア制作入門を既に持っている人も学びある書籍になっています!
そのため今作は作って覚える! ZBrushフィギュア制作入門と作って覚える!ZBrushハードサーフェス制作入門のハイブリッド+αな印象ですね。
対応バージョン
ZBrush2022.0.5以降がおすすめ
作例解説や作例データはZBrush2022.0.5で作成されているため、それ以外のバージョンでは制作が進められなくなる可能性があるとのこと。
以降のバージョンであれば基本問題ないかと思います。この記事を投稿した現時点ではZBrush2022.0.5が最新バージョンです。
Chapter1:操作画面と初期設定
初めに知っておきたいUIの操作方法や著者おすすめの設定について。
効率的に作業を進めるためにも最低限チェックしておきたい項目に触れられています。
- ZBrushを起動してからの操作
- インターフェイスについて
- パレット/トレイの操作
- 各種環境設定
■書籍サンプル
関連記事
Chapter2:基本操作
ZBrush初心者に嬉しいの基本操作の解説。キャンバス(画面)の操作から丁寧に解説されています。
- プロジェクトを開いてスカルプトを開始
- スカルプト操作
- カメラの操作
- 基本的な操作
- ブラシのパラメータの変更
- ブラシの種類の変更
■右クリックナビゲーション
■よく使われるブラシの特徴やそのブラシの使用のコツも解説されています
巻末にはよくある作業中の困りごとを解決方法と共にまとめているトラブルシューティングのページも用意されているので、
この書籍で初めてZBrushを触る人にも安心の構成になっています。
関連記事
Chapter3:顔の制作
いよいよここから制作の開始です。
機能解説の他、スカルプトのポイントも段階的に解説されているので迷うことなく作業を進めることが出来ます。
特に各ブラシの使い所は数多あるZBrushのブラシに戸惑うユーザーには嬉しい解説ですね。
- 制作開始前の準備
- 顔のベースモデルを作成
- マスクの操作
- ダイナメッシュについて
- ポリペイントについて
- スポットライトを使った転写方法
- ギズモ3Dの操作
- ポリグループを使ったスカルプト方法
- Zリメッシャーを使ったサブディビジョンレベルへの変換方法
- サブツールの操作
- 表示/非常にの操作
このチャプターは作って覚える! ZBrushフィギュア制作入門との該当項目とそう大きく変わらない印象です。
■ポイントがカラーわけされていたり見やすさが向上していました
■ダウンロードできるサンプルデータには要所ごとのプロジェクトデータが格納されているので迷ったり悩んだ時に参考にできます。(ex:Ch03_03.ZPR)
関連記事
関連して紹介されている機能は多種多様。このような機能が使用されています。ここで紹介している機能はごく一部
Chapter4:体の制作
体と服のベースメッシュ(素体)を制作していきます。このチャプターは作って覚える! ZBrushフィギュア制作入門との該当項目と異なり、始めからZmodelerを使って素体を作成しています。
- Zmodelerの基本操作
- Zmodelerを使った骨組みの作成
- ZmodelerのTargetについて
- ダイナミックサブディビジョンとサブディビジョンレベルについて
- 手の作成とミラーコピー
- 人体のスカルプト
- Zmodelerを使った板ポリゴンの作成方法
作って覚える! ZBrushフィギュア制作入門ではZSphereをでベースを作って、Zmodelerを使って調整という工程を経ていましたが、初めからZmodelerを使用することで極の無いキレイなデータが作成できます。
■Zmodlerの機能を活用した調整方法がまとめられていました。
今作ではZmodelerコンテンツが強化された一方ZSphereの項目は省略されているので、ZSphereの使い方やZSphere使ったワークフローを学びたい人は前作の購入も検討したほうが良かったりします。
関連記事
このような機能が使用されています。ここで紹介している機能はごく一部
Chapter5:パーツの制作
Zmodelerを活用してパーツの作成を行っていきます。
このチャプターは作って覚える! ZBrushフィギュア制作入門と作っているものが全く異なるため、これといった比較は行えません。
入門ではハードサーフェスに寄ったパーツ、 チュートリアルでは有機的なパーツを作成しますが、どちらもZmodelerを使った制作方法、ポイントがとにかく沢山まとめられています。
このチャプターをこなせたらZmodelerと仲良くなれます。
- Zmodelerを使った靴・帽子・まつ毛の作成
- ポリグループの塗り分け方法
- クリースエッジの設定方法
- マスクを使った居たポリゴンの作成方法
- Topologyブラシを使ったポリゴンの追加方法
- ギズモ3Dのデフォーマーの使い方
■このチャプター終了時の参考データ
関連記事
このような機能が使用されています。ここで紹介している機能はごく一部
Chapter6:ポーズの作成
トランスポーズマスターを使用してポージングをしていきます。
- ポーズ作業の準備
- トランスポーズマスターを使ったポーズの作成方法
- 選択範囲の形状変更方法
- ショートカットを使ったギズモ3Dの位置・方位の設定方法
- ポリグループマスクの設定方法
- シルエット表示への変更方法
制作しているもの自体は異なりますが、ポージングにおすすめなポリグループの分け方やポージングのポイントやポーズの検証におすすめなサイトの紹介等作って覚える! ZBrushフィギュア制作入門での解説と遜色ないわかりやすさです。
歪んだポリゴンの調整方法等追加された項目は必読!
■このチャプター終了時の参考データ
関連記事
このような機能が使用されています。ここで紹介している機能はごく一部
Chapter7:仕上げ
仕上げという名の作り込みチャプター。ここからディテールをつけていきます。
- IMMブラシを使った髪の毛の作成
- カーブの使い方と各種設定
- ブーリアンを使ったメッシュの融合
- クロスシミュレーションを使ったシワの作成
- 髪の毛・シワのスカルプト
- 服のディテールの作成方法
- スポットライトを使ったタイリング模様の作成
- MicroPolyを使った生地の作成
- 3Dプリントを意識したパーツの仕上げ
■詳細な手順で解説されているので迷うことなく進められます
ここでは読者特典としてデータ提供がされているあらゆるブラシが力を発揮します。
■特典のカスタムブラシ
7/6更新のサンプルデータ内にブラシの利用規約の書かれたテキストが追加されております。
規約テキストの内容を確認、同意のうえ正しくご利用ください。
配布ブラシデータは以下の制限を条件として、個人利用、商用利用問わず利用可能です。
範囲内であれば配布ブラシデータを使ってCG作品、制作物、立体物など物理的な形態などの創作を行うことができます。
・ブラシデータ自体を第三者に再配布、公開、または提供を禁止します。
・ブラシデータに含まれるクレジット表記、URL、ブラシアイコン画像の編集を禁止します。
・その他著作権者が不適切だと判断した場合。
参照
作って覚える! ZBrushフィギュア制作チュートリアル -はじめてから塗装まで-正誤表 / ダウンロード @Born Digital
■このチャプター終了時の参考データ
関連記事
このような機能が使用されています。ここで紹介している機能はごく一部
Chapter8:出力と塗装
3Dプリント作成を目指す人ならだれもが知りたい分割方法やサイズ設定の解説チャプター
- パーツの分割方法
- ダボの作成方法
- デシメーションマスターを使ったポリゴン数の削減
- プリントサイズの設定方法
- STLデータの出力
- 3Dプリントデータの作成
- 3Dプリント後の流れ
- 筆塗りでの塗装方法
■3Dプリンターで出力するにあたってのモデルの調整や分割方法についての解説
■おおよそのサイズを作成するための定規もサンプルデータに含まれており、その使い方の解説もあります
■プリント用データ制作の工程もデータの読み込みからサポートの作成まで解説されています。
■アナログ力も必要なんだと思い知らされる工程…スゴイ…!
関連記事
このような機能が使用されています。ここで紹介している機能はごく一部
Chapter9:トラブルシューティング
ここではZBrushで作業をしているときにあるあるなトラブル解決方法の紹介がされていました。
初心者にはありがたいコンテンツですよね。
参考トラブルシューティングにはZBrush公式サイトもお忘れなく!
初心者も「最近の機能よくわからん」人も
ZBrushフィギュア制作チュートリアルというだけあって、初めてこの書籍を手にした人にもフィギュア制作の一連の流れを知ることのできるわかりやすい設計になっています。
既に3Dプリントをバリバリできる人にとっては6割りぐらいは既知の情報かもしれません。ただ他の人のワークフローを知る機会はあまりありません。
0からポージング完成に至るまでの詳細な解説のなかで、自分のワークフローにうまく取り入れることのできる制作のヒントは大いにあるかと思います。
ZBrush関連アイテム&書籍
日本語の書籍も沢山出ています。バージョンが古いものもありますが、基本的な操作方法に大きな違いはないので大丈夫かと思います。お気に入りの1冊を見つけてください。
注目!ZBrush専用アカウントを作成しました。ZBrush関連の最新記事、過去記事を投稿するアカウントです。良ければフォローしてください
らくがきクリエイトmononocoのZBrush関連の記事(ZBrush、ZBrushCoremini、Keyshot)を投稿するアカウントを開設しました。
しばらくは過去のZBrush記事を不定期にツイートしていきます。記事投稿のみのアカウントです📢
本体(@mono_moco)共々よろしくお願いします🙏https://t.co/o1vZMSCPDU pic.twitter.com/nrQ5ExFC5P
— moco_ZBrushTips (@moco_ZBrush) December 8, 2020
関連記事ZBrushユーザーを増やしましょうぞ!無料で遊べるZBrushCoreMini
ZBrushCore超入門講座 シリーズ
Twitterでも積極的にTipsを配信していた福井信明さん(fa-twitter@nobgame)の書籍。
基本操作から、(超)丁寧に解説しているのでZBrushを始めたばかりの人にも、無印ユーザーもおすすめです!
関連記事実際にやった感想
ほか初心者向けの入門セミナーでもわかりやすく解説されていました。
そしてちょっとしたユーザーの疑問にも丁寧に答えてくれる人格者でもあります!
リビングでちょろっと&セミナーで持ち出しなどでしたら、この辺でかなり充分だと思います。もうちょい低めでもいいくらい。
そして予約ありがとうございます!!!https://t.co/RaBYAf3a9z
— のぶほっぷ福井【ZModeler超入門講座】発売もうすぐ (@nobgame) 2019年11月4日
2020年4月に夭逝されたバイタテリティあふれる素晴らしい方でした。その遺伝子たるこれらの教材をもとにたくさんの作品を生みしてください。
作って覚える! ZBrushフィギュア制作入門
作って覚える!シリーズ第1弾。
初心者向けにフィギュア制作の工程が解説されています。フルカラー石膏を目的とした解説のため分割についての解説はありませんがZSphereやZmodelerなどZBrushでよく使われる機能を網羅した1冊。また書籍購入者向けに商用利用可能なブラシデータも配布されております。ZBrush 4R8対応。
Coreにはない機能を使用しているので注意が必要です。
作って覚える!ZBrushハードサーフェス入門
作って覚える!シリーズ第2弾。
「作って覚える!フィギュア制作入門」が終わってのステップアップならこちら!
Zmodelerの基本操作及びメカモデリングで覚えるZModelerの応用テクニックを学ぶことができます。初心者も対象となっていますが多機能を使用するため、ZBrushに慣れてきてからチャレンジするのがおすすめです。
作って覚える! ZBrushフィギュア制作チュートリアル -はじめてから塗装まで-
作って覚えるシリーズ第3弾。ZBrush 2022対応。
初心者向けにフィギュア制作の工程が解説されています。1弾とチャプターの大きな構成は同じですが、こちらは自宅での3Dプリントを想定しているため分割、出力周りの情報が増量。ワークフローや作成パーツも1弾と異なります。ZSphereの機能周り等1弾から省略された解説がある一方、MicropolyやDynamics等比較的新しい機能を使ったフローも学べます。